世界の競馬種には、2つの品種が存在します。それぞれ、サラブレッドとアングロアラブと呼ばれるものです。このうち、アングロアラブがいわゆるアラブ種と呼ばれています。
元々、競馬は血統を第一に考えて配合されるブラッドスポーツです。究極の血統を残すために考えられたのがサラブレッドと呼ばれるものであり、スピードを優先して配合が考えられていきました。サラブレッドの歴史は非常に長く、その歴史は既に数百年にもなります。世界中でレースが行われてきたのも、より優秀な血筋、つまり血を残すために優秀なサラブレッドを選別するためです。サラブレッドは、血統が何よりも大切なので血統書が存在しないものはその名称を与えられません。ですから、血統を辿ると全ての父にたどり着くこともできる魅力的なものです。
しかし、スピード優先主義で考えられたサラブレッドにはいくつかの問題点も存在します。その大きな問題点として、虚弱体質が挙げられます。サラブレッドは、スピードを求めるあまりに近親配合を重ねて、虚弱体質の馬が多くなっているという側面がありました。実際に、サラブレッドは起源をさかのぼるとたった3頭の種牡馬に行きつきます。世界中に存在しているサラブレッドは、過去存在していた優秀な血を残すために何度もこういった近親配合を行いました。その結果、体質的に弱い馬が量産される形になったわけです。
そこで重要視されたのが、体質的に丈夫だったアラブ種です。アラブ種は、サラブレッドのようにスピード重視で考えられたタイプではなく、数千年も前から存在していた原種と呼ばれるものを利用しています。アラブ種と呼ばれるものは、この原種となっているアラブとサラブレッドを交配して作られたものであるため、スピード能力は劣るものの健康面で優秀であるというメリットが存在します。実際に、日本でもこのアラブ種を主としたレースが行われていた過去が存在します。
日本でレースが行われていた時代では、サラブレッドを主とした競走をサラ系、アラブ種を主とした競走をアラ系と呼んでいました。実は、日本では現在でもその名残りが残っていて競走名にサラ系という名称が残っています。こういった名称が残っているのも、過去に別の品種であったアラ系が存在してからに他なりません。ただ日本には、既に純潔の原種であるアラブは数えるほどしか存在しませんが、世界的には未だにこのアラブ種を主として競走を行っているところも多いです。