競馬:耐久レース

世の中には様々な耐久レースが存在します。参加する対象は時には人間であったり、時には車だったりしますが身体的にも精神的にも大きな負担を強いられそれを乗り越えたところに計り知れない達成感が生まれます。馬の世界にも耐久レースが存在します。昔から人と馬とのかかわり方は非常に密接ですが、世界で一番長い距離を複数の馬で競争するレースとして知られているのはモンゴルダービーです。これはギネス世界記録にも公式に記録されている大会であり、毎年開催されているレースです。

モンゴルダービーの走行距離は1000キロ、モンゴルの大草原だからこそできる超長距離レースですが、2019年に開催された大会で優勝された方はなんと70歳で過去完走者の最年長記録を達成しました。完走した馬ももちろんすごいのですが、70歳で1000キロを走ろうと思う事がまずすごい事ではないでしょうか。レスは10日間以上の期間をかけて開催されていますので、身体的な負担はもちろんのこと精神的にもかなりの重労働です。逆に最年少記録は2013年に英国人の女性が19歳で初優勝をしています。

この大会は過去世界を席巻したモンゴル帝国を築いたチンギスハーンが各地に連絡をするための伝達ルートに沿って、40キロごとに馬を替えてレースを行います。70歳で優勝した方は、約8日間走行時間約100時間を28頭乗り換えて走破しました。この大会、もちろん無料で参加できるわけではありません。参加者本人に対する医療ケアだけではなく、獣医師や負担が少ない競技用の特注の鞍も含めて合計で日本円で150万円以上が必要です。それだけの費用をかけながら毎年の様に参加する人が後をたたないところをみると、いかにこの大会が魅力的であるのかがわかります。

モンゴルは一見平坦な草原が果てしなく広がっているとイメージがあるかもしれませんが、実際にはかなり過酷な状況も存在します。昼と夜の寒暖差が激しく、体調管理には最大限の注意が必要になりますし、湿地もあれば砂漠もあるという世界の過酷な環境を凝縮したようなエリアとなっており、大会に参加するにはかなりの知識と経験が必要です。70歳で優勝した方は、モンゴルに何千頭も用意したうえで、レースに参加する時期に最適な条件を毎年の様に準備して臨んでいるようで、一年を通してこのレースに賭ける意気込みが2019年の優勝という最高の結果につながったことは間違いありません。