乗馬にはスポーツとしての競技種目が複数ありますが、実際にオリンピックで実施される馬術競技は馬場馬術と近代五種競技(障害飛越)、障害馬術と総合馬術の4つであり、パラリンピックではパラ馬術(馬場馬術)のみが行われる特徴があります。
総合馬術競技は一言でいうと馬術のトライアスロンであり、馬場馬術競技とクロスカントリー競技、障害馬術競技の3種目を同一人馬のコンビネーションで3日間かけて行う特徴があり、この3種目で減点合計の少ない人馬が上位になります。この競技で求められるのは、乗り手が馬の能力と体力を性格に把握して3日間体力配分とコース計画を綿密に計算することであり、競技期間を通じて馬のコンディションを常に良い状態に保つことが勝利に繋がります。
通常のオリンピック競技のように選手のみのコンディションを整えればいい場合とは異なり、3日間馬の健康とコンディションが最重要となり、毎日馬体検査としてホースインスペクションを行って馬の体調をチェックする必要があります。
総合馬術のルールは1日目に馬場馬術、2日目にはメイン種目となるクロスカントリー、3日目に障害飛越を行い、それぞれに決められたルールがあります。馬場馬術の場合は一般的な競技と同様に採点されますが、総合馬術の場合はこれを減点に換算されます。その計算法は100から最終得点率とよばれる、全審判員の得点率を平均したものを引くというものです。
クロスカントリーでは主なペナルティとして、障害における馬の拒止や逃避、巻乗りで決められた減点がつきます。特に3回目の拒止と逃避、巻乗りが起こってしまうと失権になるので注意が必要です。他にも規定タイムの超過が起こると、1秒超過するごとに0.4の減点が課せられ、落馬や人馬転倒が起こった時点で失権になります。
最後の障害馬術にも主なペナルティがあり、障害物の落下では減点4、障害物の前で馬が止まってしまう拒止や横に逃げる逃避、それ以外の場所で乗り手の指示に従わなかったりコース走行中に巻き乗りした場合も反抗となり、1回目で減点4で2回目で失権となるので注意が必要です。この競技も落馬と人馬転倒の時点で失権となります。
全ての競技を通じて審査ポイントとしては、馬に柔軟性のあるしなやかな動きがあり、選手の指示に従順であるなどきちんと調教されているかが判断されます。そして馬のコンディションを維持するためにも選手はあらゆるケアを行ってインスペクションに臨む必要があり、合格出来た時点で参加が許されるので、基本は馬の健康とコンディションが重視される競技であることがわかります。
オリンピック 障害馬術 ルールを解説!
馬術は、数あるオリンピック競技の中で唯一男女が一緒に参加する競技です。2021年に行われた東京オリンピックでは、馬場馬術・障害馬術・総合馬術の3競技が個人・団体でそれぞれ行われましたが、ここではオリンピック 障害馬術 ルールについて解説していきます。
障害馬術は、規定タイム内に設置された障害物を決められた順番で飛び越えながら走る競技です。馬術の華とも言われていますが、この競技は減点方式で採点され、順位が決まります。
減点の基本ルールとしては、まず障害物に設けられたバーを落としてしまう「落下」が減点4です。落としたバーの本数は問われず、1本でも複数でも減点4となりますが、ブロックやレンガを倒した場合も4点が減点されます。また、障害物の前で馬が止まってしまう「拒止」、障害物を飛ばずに逃げてしまう「逃避」、競技者の指示に逆らう「不従順・反抗」なども減点4で、これらの行為を2回行うと失権となります。さらに、競技中に静止した状態や後ろ足で立ち上がるような動作を45秒以上継続した場合、選手が落馬した場合、選手と一緒に馬が転倒した場合、飛び越える順番を間違えてしまった場合も失権です。また、タイムについては4秒超過するごとに1点が減点されますが、既定のタイムの2倍以上の時間がかかってしまうと失権となります。
以上がオリンピック 障害馬術 ルールとなりますが、障害馬術には服装に関するルールも設けられています。障害馬術では、まずヘルメットの着用が義務付けられているのですが、このヘルメットは3点固定式のチンストラップ付きタイプでなければなりません。ライディングジャケットの色は黒・紺・赤のいずれかで、シャツは白が基本ですが襟と袖が白であればカラーシャツの着用も可能です。また、ネクタイとキュロットは白で、革製のブーツを着用する必要があります。そして、長さが75cm以内の鞭を使用するのが障害馬術 ルールとなっています。