
東京芝1400mは、JRA全コースの中でも展開の読みが難しく、適性差が明確に表れるトリッキーな舞台です。
スプリントの瞬発力とマイル戦の持続力、その両方が求められるため、純粋なスピードタイプだけでなく、1400m巧者と呼ばれる専門距離型の馬が好走する傾向にあります。
スタートは向正面の2コーナー奥。
最初のコーナーまで約342mと長く、枠順による有利・不利が明確に出やすいのが特徴です。
一方で、直線は525.9mと非常に長く、坂を上るタフなレイアウトが待ち受けます。
そのため「逃げ・先行が残る展開」もあれば「差し・追い込みが一気に台頭する展開」もあり、ペース判断と位置取りが勝負の分かれ目になります。
予想の難易度が高く感じますが、特徴と傾向を理解していれば勝率を上げることは可能です。
本記事では、東京芝1400mの詳細を解説し、有利な枠や脚質、血統、騎手別のデータをまとめ、傾向について解説しています。
コース紹介にとどまらず、実際の予想で活かせる統計的な優位性を明らかにするので、最後まで読んで勝率を上げましょう。
もくじ
東京芝1400mのコース詳細

東京芝1400mは、日本でも珍しい「スプリントとマイルの中間距離」に位置する特殊なワンターンコースです。
スタート地点は2コーナーの奥にある“ポケット”と呼ばれる地点で、緩やかな下り坂を経て3コーナーへと向かう構造。
最初のコーナーまでが約340mと長く、ペースが上がりやすい反面、外枠でも位置を取りやすいという特徴があります。
3〜4コーナーは緩やかなカーブで、直線は525.9m。
最後には高低差2.1mの坂が待ち受けるため、スピードに加えて坂を登り切るスタミナも必要です。
このように、スピード・持続力・瞬発力の三拍子がそろった馬ほど好走しやすい設計といえます。
また、レースの性質上「ハイペースになりやすく、後半の失速率が高い」のも特徴。
前半1000mの通過タイムが速いレースでは、差し・追い込みが届く展開が多く見られます。
東京芝1400mの平均タイム
| クラス | 平均タイム |
|---|---|
| 新馬 | 1:24:0 |
| 未勝利 | 1:22:6 |
| 500万下 | 1:21:6 |
| 1000万下 | 1:21:6 |
| 1600万下 | 1:20:9 |
| オープン | 1:21:2 |
| 重賞 | 1:21:5 |
東京芝1400mの標準タイムは、良馬場で1分21秒台前半が平均です。
ただし、開催時期や馬場状態によって時計は大きく変化します。
春(5月)や秋(10月)の開催では芝が軽く、1分19秒台前半の高速決着も珍しくありません。
一方、梅雨時期や開催後半の芝が荒れた時期は、1分21秒〜22秒台まで時計が掛かるケースも。
東京コースは直線が長く坂を含むため、見た目以上にスタミナを要する舞台でもあります。
特に注目すべきは、前半3Fの平均タイムが33秒台前半〜中盤と速い点。
序盤が速く流れる分、ラスト1Fでの失速率が高く、単純なスピード型よりも「ラストまで脚を残せるタイプ」が強い傾向にあります。
そのため、平均ラップ構成(33.8−45.8)=やや前傾ラップを想定することが、東京芝1400mの予想精度を高める鍵となります。
東京芝1400mの重賞レースのレコードタイム
【京王杯スプリングC (G2)】

| 日付 | 2025/5/3 |
|---|---|
| 競走馬 | トウシンマカオ |
| 騎手 | 横山武史 |
| レコードタイム | 1分18秒3 |
【京王杯2歳S (G2)】

| 日付 | 2023/11/4 |
|---|---|
| 競走馬 | コラソンビート |
| 騎手 | 横山武史 |
| レコードタイム | 1分20秒6 |
東京芝1400mのデータ傾向

東京芝1400mでは、レース展開や位置取りの印象よりも、データに裏付けされた型が明確に存在します。
過去5年の集計を分析すると、勝率や複勝率には一貫した傾向が見られ、特定の条件下で好走するパターンがはっきりと浮かび上がります。
まず注目すべきは、外枠と中団差しの複勝率がともに30%を超える点。
内枠が馬群に包まれやすい東京コースでは、外からスムーズに運べる馬が結果を残しています。
また、血統面では「瞬発力系×持続力系のハイブリッド血統」が好成績。
純スプリント型よりも、距離延長ローテで挑む馬の方がパフォーマンスを上げる傾向があります。
加えて、騎手データでは直線勝負を得意とするCルメール・戸崎・川田騎手が複勝率40%超と高水準。
人気別成績では上位人気の信頼度が高く、堅めに決まりやすい傾向も数字で裏付けられています。
このように、東京芝1400mは展開予想よりも、統計的な裏付けをもとに条件を組み合わせる分析型レース。
次では、枠順・脚質・血統・騎手・人気別に、それぞれのデータを細かく見ていきましょう。
枠順別成績
過去5年間(2020〜2024年)のデータを集計したところ、中枠〜外枠(特に8枠)の成績が全体的に上位という傾向が見られました。
以下の表では、各枠番ごとの勝率・連対率・3着内率を比較しています。
| 枠番 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3連対率 |
|---|---|---|---|---|
| 1枠 | 22-23-28-337/410 | 5.4% | 11.0% | 17.8% |
| 2枠 | 16-31-25-354/426 | 3.8% | 11.0% | 16.9% |
| 3枠 | 37-26-28-358/449 | 8.2% | 14.0% | 20.3% |
| 4枠 | 24-39-29-378/470 | 5.1% | 13.4% | 19.6% |
| 5枠 | 40-25-42-379/486 | 8.2% | 13.4% | 22.0% |
| 6枠 | 40-34-24-402/500 | 8.0% | 14.8% | 19.6% |
| 7枠 | 34-50-44-463/591 | 5.8% | 14.2% | 21.7% |
| 8枠 | 54-41-48-467/610 | 8.9% | 15.6% | 23.4% |
■最も安定して好走しているのは外枠(特に8枠)
外枠勢の勝率・連対率がいずれもトップ。
スムーズに外へ持ち出せることで、直線の長さをフルに活かした“差し切り”パターンが決まりやすい。
■中枠(5〜6枠)も堅実なゾーン
内に寄らず外にも振られず、ペースを読んで動けるため、複勝率20%台前半を維持しており安定感が高い。
■内枠(1〜2枠)はやや不利
馬群に包まれるリスクが高く、特に差し・追い込み馬には不向き。
ただし、逃げ・先行タイプならロスなく立ち回れるため、一概にマイナスとは言えない。
■馬場傾向の影響も大きい
近年は造園技術の影響で外差しが決まりやすく、以前より外枠有利の傾向が強まっている。
道悪や重馬場になると、逆に内側の伸びが復活するケースもあり、馬場状態の見極めが重要です。
脚質別成績
東京芝1400mでは、レース展開によって有利な脚質が大きく変化します。
スタートから最初のコーナーまでが長く、前半ペースが速くなりやすいため、単純なスピード勝負よりも「脚の使い方」が問われるコースです。
以下は、過去5年間(2020〜2024年)の脚質別成績をもとにした分析結果です。
| 脚質 | 勝率 | 連対率 | 3連対率 | 傾向・特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 逃げ | 10.6% | 19.5% | 26.8% | ハイペースを作らなければ粘れる。馬場が軽い時期は残りやすい。 |
| 先行 | 12.4% | 23.2% | 31.5% | 全体で最も安定。位置を取れる地力型が有利。 |
| 差し | 9.7% | 20.2% | 32.4% | 流れが速い展開で強い。末脚勝負に持ち込める。 |
| 追込 | 5.2% | 10.6% | 17.1% | 展開待ち。届く時と届かない時の差が大きい。 |
■先行馬が安定して強い理由
最初のコーナーまで距離が長いため、外枠でも無理なく前に出せる点が先行馬に有利。
ペース配分を間違えなければ、直線の坂でも粘り込めます。
ルメール・戸崎騎手のような「早仕掛けを避ける先行型」が好成績を残しています。
■差し・追い込みは展開次第
前半3Fが33秒台に入るようなハイペース戦では、差し馬が上位を独占する傾向。
特に春開催(5〜6月)の高速馬場では、外からの差しが決まりやすくなります。
逆に、ペースが落ち着くと前が残るため、展開を読む力が勝負を分ける距離です。
■逃げ馬はペースと馬場が鍵
逃げ馬の複勝率も26%と決して低くはありません。
ただし、東京芝1400mは最後の坂でスピードが落ちやすく、後続の脚が止まらない馬場では捕まりやすいというリスクもあります。
重馬場・稍重など時計がかかるコンディションでは粘り込み率が上昇します。
血統別成績
東京芝1400mは、コース形態の特殊さから血統適性がはっきり分かれる距離です。
スプリントとマイルの中間に位置するため、「スピードの持続力」と「瞬発力の切れ」を両立できる血統が強い傾向があります。
以下は、過去5年間(2020〜2024年)の父系統別成績をまとめたデータです
| 血統 | 主な種牡馬 | 勝率 | 連対率 | 傾向・特徴 |
|---|---|---|---|---|
| サンデーサイレンス系 | ディープインパクト、キズナ | 8.7% | 23.5% | 芝質が軽い時期に抜群。瞬発力と立ち回りの器用さが光る。 |
| ミスタープロスペクター系 | ロードカナロア、ルーラーシップ | 8.4% | 22.8% | スピードの持続力が武器。ペースが速い展開に強い。 |
| ノーザンダンサー系 | ハービンジャー、リアルスティール | 6.2% | 17.9% | パワー型。稍重〜重馬場で成績が上向く。 |
| ロベルト系 | エピファネイア、スクリーンヒーロー | 5.8% | 16.4% | 坂と持続力に強い。道悪や長距離替わりで浮上傾向。 |
■サンデーサイレンス系が総合トップ
サンデー系は依然として中心的存在。
特にディープインパクト産駒は直線の切れ味が際立ち、良馬場時の勝率が高い。
一方、ダイワメジャー産駒はスピードと前向きさが強く、逃げ・先行で押し切るパターンも多く見られます。
同じサンデー系でも、瞬発型(ディープ)×持続型(メジャー)で好走の形が異なるのが特徴です。
■ミスプロ系は「安定の万能型」
東京芝1400mの平均ラップ(前傾ペース)にもっとも適応しているのがこの系統。
ロードカナロア産駒やキングカメハメハ系は速い時計への対応力が高く、ペースが速くても崩れにくい。
「安定して走る血統=回収率が高い血統」としても注目されています。
■ノーザンダンサー・ロベルト系は馬場悪化で浮上
芝が傷み始める開催後半や雨天時には、欧州血統のスタミナ型が台頭。
ハービンジャー産駒やエピファネイア産駒はパワーが活き、「時計のかかる馬場」では人気薄の激走も珍しくありません。
重馬場・稍重ではこの2系統を穴候補として押さえたいところです。
騎手別成績
東京芝1400mは、騎手の位置取り判断とペース読みが勝敗を大きく左右するコースです。
スタート後すぐにペースが上がりやすく、直線での進路選択も難しいため、コースを熟知した騎手ほど安定した結果を残しています。
以下は、過去5年間(2020〜2024年)の主要騎手別成績と特徴をまとめたデータです。
| 騎手 | 勝率 | 連対率 | 3連対率 | 主な特徴・傾向 |
|---|---|---|---|---|
| C.ルメール | 19.8% | 42.7% | 55.2% | ペース判断が卓越。中団差しからの直線勝負に強い。 |
| 戸崎圭太 | 12.1% | 28.5% | 40.3% | 東京芝全般に強い。先行〜差しを自在に操る安定派。 |
| 川田将雅 | 11.7% | 26.4% | 37.9% | 勝負所の動きが的確。速い上がり勝負にも対応。 |
| 三浦皇成 | 8.9% | 20.4% | 30.1% | 東京コースの経験値が高く、外差し展開に強い。 |
| 田辺裕信 | 8.3% | 17.6% | 27.2% | 直線での追い出しタイミングが絶妙。後方一気型を得意とする。 |
| 横山武史 | 7.8% | 15.5% | 24.8% | 前で運ぶ展開が得意。逃げ・先行馬での勝率が高い。 |
| 石橋脩 | 6.9% | 14.2% | 23.6% | 馬群をさばく判断力に長け、穴馬の激走も多い。 |
■東京芝1400mの“定番巧者”=ルメール・戸崎
ルメール騎手は、東京芝1400mの複勝率55%超えという驚異的な安定感。
長い直線とペースの緩急に柔軟に対応できるため、馬の脚を最後まで温存して差し切るパターンが多く見られます。
戸崎騎手は「スタート後の位置取りが上手い」典型的な東京巧者。
特に中枠〜外枠を引いた時の安定感が抜群で、連対率40%近くをキープしています。
■川田・横山武史騎手はペース設計型
川田騎手は全国的に高水準の成績を残していますが、東京芝1400mでは先行+瞬発力の両立型で好走。
一方、横山武史騎手は前で運ぶ形を得意としており、逃げ・先行タイプの馬を狙う時に信頼度が高い傾向です。
■穴党が注目すべきは田辺・三浦
東京芝1400mは差し・追い込みも決まりやすい舞台であり、後方からの仕掛けタイミングが上手い田辺騎手と三浦騎手は穴を開ける存在。
特に人気薄でも直線で“脚を使わせる競馬”を展開できる騎手は、馬券的妙味があります。
人気別成績
東京芝1400mは、上位人気馬の信頼度が非常に高いコースです。
実力がストレートに反映されやすく、極端な波乱は少ないのが特徴。
ただし、ペースや馬場状態によっては、中穴(4〜6番人気)の台頭も十分あります。
以下は、過去5年間(2020〜2024年)の人気別成績をまとめた表です。
| 人気 | 勝率 | 連対率 | 3連対率 | 傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 1番人気 | 36.1% | 58.9% | 72.5% | 高信頼度。軸候補として最有力。 |
| 2番人気 | 18.7% | 38.4% | 54.1% | 実力馬が順当に好走。堅め決着パターン多い。 |
| 3番人気 | 12.6% | 27.2% | 43.3% | 信頼度は高く、複勝率4割超えで安定。 |
| 4~6番人気 | 7.9% | 19.2% | 31.6% | 展開がハマれば突っ込む。中穴の中心ゾーン。 |
| 7~9番人気 | 4.6% | 10.1% | 18.5% | 外差しや馬場傾向に恵まれると激走あり。 |
| 10番~人気 | 1.8% | 4.2% | 9.3% | 基本は厳しい。展開と馬場の助けが必要。 |
■1番人気の信頼度は全国トップクラス
東京芝1400mは実力がそのまま結果に結びつく舞台であり、1番人気の勝率36%、複勝率72%超という非常に高い数字を誇ります。
この数値は、他の東京芝コース(1600m・1800m)と比較しても上位水準です。
ルメール・戸崎・川田といった上位騎手が1番人気馬に騎乗した際は、複勝率が8割を超えるケースもあり、「人気+騎手」セットの信頼度が抜群です。
■中穴は展開と馬場で浮上
4〜6番人気の複勝率は約32%。
特に春の高速馬場や、ペースが流れる展開では差し馬の中穴が台頭します。
血統的にはロードカナロアやモーリス産駒のようなスピード持続型×外枠が激走パターン。
■下位人気の好走は限定的
7番人気以下の勝率は5%未満。
基本的には能力差が明確なレースが多いため、無理な穴狙いは非効率です。
ただし、雨や強風などで展開が崩れた場合、「外差し勢+スタミナ型血統」の人気薄が突っ込むケースも存在します。
東京芝1400mの予想ポイント
東京芝1400mを攻略するには、5つの主要ファクター(枠順・脚質・血統・騎手・人気)を総合的に組み合わせて考えることが重要です。
過去5年(2020〜2024年)のデータからは、以下のような明確な傾向が見られます。
| ファクター | 有利傾向 | 狙い方 |
|---|---|---|
| 枠順 | 5〜8枠(特に8枠) | 外からスムーズに運べる馬 |
| 脚質 | 先行・差し | 中団で脚を溜められる馬 |
| 血統 | サンデー系・ミスプロ系 | 馬場状態で使い分ける |
| 騎手 | ルメール・戸崎・川田 | コース理解度と展開判断が上位 |
| 人気 | 上位人気が堅実 | 中穴狙いは差し馬限定で |
基本線として押さえたいのは「外枠×先行〜差し×上位人気」という黄金パターンです。
東京芝1400mは最初のコーナーまで距離があり、外枠でもスムーズに加速できる構造。
前に出すぎず中団に構えて脚を温存できるタイプが、直線の長い東京コースで最も能力を発揮します。
そのため、外枠から流れに乗れる先行・差し馬が軸の中心になります。
次に意識すべきは「展開」と「馬場の噛み合わせ」。
逃げ馬が多いメンバー構成ではペースが速くなり、差し馬が台頭。
逆にスローになりそうな少頭数戦では、先行馬が残りやすくなります。
さらに、馬場が軽ければ瞬発力型(サンデー系)、時計がかかる馬場なら持続力型(ミスプロ・ハービンジャー系)を狙うのがセオリーです。
天候とペースを組み合わせた展開予測型の思考が必要なコースといえます。
そして忘れてはならないのが「騎手と人気」。
東京芝1400mは直線の進路選択が難しく、仕掛けのタイミングが1テンポずれるだけで着順が変わるため、ルメール・戸崎・川田のようなコース理解度の高い騎手は数字以上に信頼できます。
1〜3番人気が非常に強い傾向にあるのもこの特徴の裏付けで、「人気馬×実力騎手×外枠」なら軸として信頼度は極めて高いです。
一方、穴狙いなら4〜6番人気の外差し馬が狙い目。
人気薄の内枠・追い込みよりも、中穴×外×差しというデータに沿った買い方が有効です。
東京芝1400mのまとめ
同じ東京競馬場でもスタート位置が変わるので、坂道の入りやコーナーの入り、直線距離が全て違います。
脚質はもちろん、血統や枠、騎手によって戦略が異なるので攻略するのは難しいですが・・・。
傾向を知ることによって勝率を何倍も上げることができます。
本記事を読んで勝率が上がった方はKEIBAWITHのお問い合わせで知らせて頂けると嬉しいです。
ぜひ、東京芝1400mで勝負する際は、本記事を参考にしてみてください。